水の中を走った日

2019年10月25日

三重県津市で不動産会社を営んでおります、

 

株式会社イーエンの秋田ちひろです。

 

台風19号の被害はあまりに甚大です。

 

犠牲者の方々、今も辛い生活に耐えている方々を

 

思うと心が痛みます。そした他人事ではない。

 

私も忘れることが出来ない「雨の日」があります。

 

平成12年の9月11、12日のことです。

 

名古屋市など愛知県は集中豪雨に見舞われ

 

2日間の総雨量は567mm。年間降水量の1/3近くが

 

2日間で降ったそうです。

 

その日、私は名古屋市在住の娘を訪ねるべく、

 

夜津市を車で出発しました。翌朝、病院で受診する為泊めて

 

貰うつもりで。天気予報は見なかった。

 

四日市辺りから雨足が強くなりゆっくり走らざるを得ませんでした。

 

名古屋市内に入った頃、その雨の異常さに漸く気付きました。

 

市内の道路の緩やかな緩やかな坂を下ろうとした時に息を呑みました。

 

その先は広い範囲で冠水していたのです。

 

車は水の中で止まると動かなくなることは知っていたので、

 

私はゆるゆると水の中に入っていきました。

 

前に2、3台の車が走っているのが見えていたので。

 

今思い返せば絶対やるべきではなかった。深さが分からないのですから。

 

水位はおそらくタイヤの上まで来ていたでしょう。

 

心臓の鼓動が早くなりながらもどこか現実感が無いまま

 

長い長い時間を走っていた様に感じました。

 

やっとの思いで娘のマンションに辿り着いたものの

 

疲れ果てた私は車の外に出る気力が

 

全く無くなっていました。雨が弱まるまで…

 

そう思って滝の様な雨音を聴いてて2時間近くが

 

経過したのを覚えています。

 

台風19号でヘリコプターに救助された方は

 

「自分たちの身にこんなことが起きると想像したことが無かった」と。

 

被災する人々は皆等しくそう思うでしょう。

 

水の中を車で走った私もそうです。水没した真夜中の町。

 

茶色い水面を街灯が照らしていた光景を生涯忘れることはありません。