赤いリュック

2020年04月09日

三重県津市で不動産会社を営んでおります、

 

株式会社イーエンの秋田ちひろです。

 

東風に吹かれ、満開になったばかりの桜が散り始めました。

 

孫を連れて自宅近くの「慰霊公園」へお花見に行きました。

 

樹形のよい大きなソメイヨシノが、整然と並んで美しい。

 

木々の間を風が渡る音だけ。静かです。

 

近鉄久居駅の隣地にある自衛隊久居駐屯地が、元は陸軍第三十三連隊

 

(三重県の部隊)の駐屯地だったそうで、この公園にその合祀碑があります。

 

「お花見の前に、『ありがとう』とお祈りしましょうね。」と3歳の孫を促しました。

 

慰霊碑の前で、孫は突然「ありがとおお」と叫びました。

 

落ちた桜の花を見たり、タンポポの種を飛ばして遊んだり、雑草の名前をあてっこしたり…

 

皆で春を楽しみました。

 

名古屋在住の娘と孫を送っていく帰り道の車の中で、

 

孫が突然「赤いリュック…」と呟きました。

 

私と娘は会話の途中でスルーしたのですが、会話が途切れた時「あ」っと声を出しました。

 

孫がずっと抱いていた、ぬいぐるみのピーターラビットが

 

背負っていた小さな赤いリュックが見当たりません。

 

私の自宅まで戻って、娘が探しに行きました。

 

「お母さんが失くしちゃったのかしら。困ったわね」

 

いやいや

 

ぬいぐるみをずっと抱っこしてたのは、間違いなく貴女です。

 

娘が息をきらせて戻りました。「無いわ」

 

慰霊公園に戻りました。

 

夕暮れ迫る公園は明るさが頼りなく、尚更寂しげです。

 

何個か落ちている赤いものは、枯れた椿の花でした。

 

草叢の中に落ちていればもう見つからない。

 

赤ちゃんの掌ぐらい小さいのですから。

 

諦めかけた時、夕日に照らされた赤いものが見えました。

 

小さなリュックは、慰霊碑の正面に落ちていました。

 

手を合わせて心の中で御礼を申し上げました。

 

孫に「赤いリュック」と言わせて下さって。

 

なんだか不思議な出来事でした。

桜